クラウドコンピューティングとは何か。

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今回は、クラウドコンピューティングを活用していく前提となる、概念や、用語の解説を中心に記載していきますので、よろしくお願いいたします。

クラウドコンピューティングは、従来のオンプレミス環境とは異なるアーキテクチャとなっており、リソースやサービスの提供方法が異なるため、導入前に基礎的な理解が必要です。
具体的には、クラウドコンピューティングの概念、アーキテクチャ、セキュリティ、コスト、利用方法、プロバイダー選択のポイントなどについて理解する必要があります。これにより、クラウドコンピューティングを導入する際に、適切なプロバイダーを選択し、最適な設計と構成を行うことができ、セキュリティやコスト管理などのリスクを最小限に抑えるためです。また、クラウドコンピューティングは急速に進化している分野であり、基礎的な理解があれば、新しいテクノロジーやトレンドに対応することができ、迅速にビジネスへの対応が可能となります。

クラウドコンピューティングとは

まずは、話の根幹となるクラウドコンピューティングとは、何か?について説明します。NIST(※)による、クラウドコンピューティング(以下クラウドと記載)の定義は以下となっています。

クラウドコンピューティングは、共用の構成可能なコンピューティングリソース(ネットワーク、サー バー、ストレージ、アプリケーション、サービス)の集積に、どこからでも、簡便に、必要に応じて、ネ ットワーク経由でアクセスすることを可能とするモデルであり、最小限の利用手続きまたはサービス プロバイダとのやりとりで速やかに割当てられ提供されるものである。

※NIST / National Institute of Standards and Technologyの略で「米国国立標準技術研究所」

クラウドコンピューティングの特徴

ネットワーク経由でのアクセス
クラウドコンピューティングは、インターネットを介してサービスやリソースにアクセスすることができます。これにより、場所を選ばずにサービスやリソースを利用することができます。

マルチテナント
クラウドプロバイダは、複数の顧客が同じハードウェアやインフラストラクチャを共有できるように設計されています。これにより、コストを削減し、リソースの使用効率を高めることができます。

オンデマンドプロビジョニング
クラウドコンピューティングでは、必要に応じてリソースをリアルタイムで提供することができます。これにより、必要なときに必要な量のリソースを利用することができ、コストを最適化することができます。

セルフサービス
クラウドコンピューティングでは、顧客が自己管理できるように、簡単なインターフェースやAPIを提供しています。これにより、顧客は自己管理できるため、迅速にリソースを利用することができます。

高いスケーラビリティ
クラウドコンピューティングは、必要に応じてリソースをスケールアップまたはスケールダウンすることができます。これにより、需要に応じて柔軟にリソースを調整することができます。また、これにより、費用対効果を最適化することができます。

クラウドコンピューティングのデプロイメントモデル

クラウドコンピューティングのデプロイメントモデルとは、クラウド上にアプリケーションやサービスを配置するための方法で、主要なデプロイメントモデルは以下となります。

パブリッククラウド

クラウドのインフラストラクチャは広く一般の自由な利用に向けて提供され る。その所有、管理、および運用は、企業組織、学術機関、または政府機 関、もしくはそれらの組み合わせにより行われ、存在場所としてはそのクラ ウドプロバイダの施設内となる。

プライベートクラウド

クラウドのインフラストラクチャは、複数の利用者(例:事業組織)から成る 単一の組織の専用使用のために提供される。その所有、管理、および運 用は、その組織、第三者、もしくはそれらの組み合わせにより行われ、存在 場所としてはその組織の施設内または外部となる。

ハイブリッドクラウド

クラウドのインフラストラクチャは二つ以上の異なるクラウドインフラストラク チャ(プライベート、コミュニティまたはパブリック)の組み合わせである。各 クラウドは独立の存在であるが、標準化された、あるいは固有の技術で結 合され、データとアプリケーションの移動可能性を実現している

クラウドコンピューティングのサービスモデル

クラウドコンピューティングのサービスモデルとは、、主要なサービスモデルは以下となります。

インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス(IaaS

IaaS(Infrastructure as a Service)は、クラウドコンピューティングの一形態で、ハードウェアのインフラストラクチャを提供するサービスです。主な特徴として、以下のようなものが挙げられます。

  1. インフラストラクチャの提供 IaaSは、仮想マシンやストレージ、ネットワークなどのハードウェアのインフラストラクチャを提供します。利用者は、必要なリソースを選択して、自分のアプリケーションやデータを実行・保存することができます。
  2. スケーラビリティの高さ IaaSは、需要に合わせて必要なリソースを瞬時に提供できるため、スケーラビリティが高いという特徴があります。また、必要なリソースを柔軟に増減できるため、費用を抑えることができます。
  3. セルフサービス型の管理 IaaSは、利用者が自分でインフラストラクチャの管理や設定を行うことができます。そのため、利用者は自分のニーズに合わせて、リソースの管理や設定を行うことができます。
  4. 仮想化技術の活用 IaaSは、仮想化技術を活用して、複数の仮想マシンを同時に実行することができます。そのため、一つの物理サーバーで複数のアプリケーションを実行することができ、コスト削減やリソースの最適化ができます。

プラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)

PaaS(Platform as a Service)は、クラウドコンピューティングの一形態で、開発者やビジネスユーザーがアプリケーションを開発、実行、管理するためのプラットフォームを提供します。主な特徴として、次のようなものが挙げられます。

  1. アプリケーションの開発環境を提供 PaaSは、アプリケーションを開発するためのプラットフォームを提供することが特徴です。これにより、開発者は開発環境の設定やセットアップに時間をかけることなく、すぐにアプリケーションの開発に着手することができます。
  2. 自動スケーリング機能の提供 PaaSは、自動スケーリング機能を提供することができます。これにより、アプリケーションのトラフィックが増加しても、サーバーの追加や設定変更などの手間を省くことができます。
  3. セキュリティの高い環境の提供 PaaSは、セキュリティの高い環境を提供することができます。これにより、アプリケーションの開発や実行におけるセキュリティリスクを軽減することができます。
  4. リソースの効率的な活用 PaaSは、リソースの効率的な活用を可能にします。アプリケーションが必要とするリソースの量に合わせて、柔軟にリソースを提供することができます。

ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS )

SaaS(Software as a Service)は、クラウドコンピューティングの一形態で、オンライン上でソフトウェアアプリケーションを提供するサービスです。主な特徴として、次のようなものが挙げられます。

  1. インフラストラクチャの不要 SaaSは、インフラストラクチャ(ハードウェアやネットワークなど)を自分で用意する必要がありません。サービスプロバイダがインフラストラクチャを提供し、それに基づいてアプリケーションが提供されるため、利用者はインフラストラクチャの運用・管理などの手間を省くことができます。
  2. サブスクリプションベースの課金 SaaSは、通常、サブスクリプションベースで課金されます。利用者は、月額または年額で料金を支払い、アプリケーションを利用することができます。
  3. メンテナンスの負担が軽減 SaaSは、ソフトウェアのメンテナンスがサービスプロバイダによって行われます。そのため、利用者はソフトウェアの更新やアップグレード、セキュリティパッチの適用などの作業を行う必要がありません。
  4. クロスプラットフォーム SaaSは、オンライン上で提供されるため、利用者はデバイスやプラットフォームの制限を受けずに、どこでもアプリケーションにアクセスすることができます。これにより、利用者は自分の好きなデバイスや場所で作業することができます。

中小規模のメリット・デメリット・課題

中小規模の組織にとって、クラウド導入はコスト削減や、オペレーションの簡略化などにより、メリットがある一方、クラウド導入における方針策定と、関連者間(場合によっては全社レベル)の合意形成がされず、クラウド環境への移行を行った場合、経済的損失(今まで以上にコストの発生や、想定していたコスト削減ができない)をはじめとし、クラウド環境特有の可用性の低下や、セキュリティー侵害によるシステムや、サービスの停止により、最悪の場合企業のブランドイメージの低下などが発生する可能性もあります。

メリット

  • 拡張性
    中小規模組織にとって、クラウド利用による拡張性は大きなメリットです。クラウドサービスは、必要に応じて柔軟に拡張できるため、急激な需要の増加や新規事業の展開などに対応しやすく、ビジネスの拡大に適した環境を提供します。また、拡張性の高さにより、中小規模組織が柔軟にビジネス拡大を図ることができます。
  • コスト
    中小企業にとって、クラウドサービスを利用することでITシステムの運用・保守コストを削減でき、ハードウェアやソフトウェアの導入費用も抑えられます。また、サービスプロバイダーがリソースやアプリケーションの管理を行ってくれるため、自社での購入や保守管理が不要で、コスト削減につながります。また、課金体系として、従量課金制度が採用されている場合が多く、必要な分だけ支払い、不要な分は削減できるため、コスト管理もしやすくなります。
  • セキュリティ
    中小規模組織にとって、クラウド利用によるセキュリティー面でのメリットは大きなものがあります。クラウドサービスプロバイダーは、専門のセキュリティー対策を実施しており、データの保護、セキュリティーの強化、リスクマネジメントなどの面で高いレベルの保護を提供しています。また、データバックアップや復旧作業もサービスプロバイダーが行ってくれるため、データの損失やサービス停止時間を最小限に抑えることができます。さらに、クラウドサービスプロバイダーは、多くの場合、国内外の規制や法律に準拠したセキュリティー対策を実施しているため、中小規模組織がセキュリティーに関する法的規制に適合することを容易にします。これらのメリットにより、中小規模組織は、セキュリティーに関するリスクを軽減し、専門的なセキュリティー対策を提供することが難しい場合でも、安全かつ効率的なビジネスを展開することができます。

デメリット・対応すべき課題

  • ガバナンス定義
    オンプレミス環境とは違い、共有地ソースを、ネットワークを経由し、利用することになるクラウドは、適切なガバナンス(統治)が定義されていることが必要です。ガバナンスは、利用目的やセキュリティポリシーの策定、アクセス権限の管理、契約書の内容確認などを含みます。中小企業は専任のITスタッフがいない場合が多く、クラウドを利用する上でのリスクを適切に管理できない場合があります。ガバナンスの定義は、リスクを最小限に抑え、クラウド導入のスムーズな運用を支援するために欠かせません。また、顧客情報や取引先情報などの機密情報を扱う場合は、法的義務も遵守する必要があるため、ガバナンス定義はその遵守を担保するためにも必要です。
  • ネットワークインフラの再整備
    クラウド導入においては、データやアプリケーションをクラウド上で管理・利用するために、安定かつ高速なネットワーク環境が必要です。クラウドサービスプロバイダーとの安全な通信を行うためにも、適切なネットワーク環境が整備されていることが重要です。クラウドにアクセスするユーザーからのアクセス速度や遅延が少ないことはもちろんのこと、ネットワークの可用性や安定性も確保する必要があります。また、データセキュリティを確保するためには、ネットワーク上のデータの暗号化やアクセス制限の設定が必要となります。これらのネットワーク環境整備を行うことで、クラウドを安全かつ効率的に活用することができます。
  • カスタマイズの制限
    ラウドサービスには、一定のカスタマイズの制限があります。特に、大規模な企業に比べてリソースや専門知識が不足している中小規模組織にとっては、自社のビジネスプロセスやニーズに合わせたカスタマイズが必要となる場合があります。しかし、クラウドサービスではカスタマイズが制限されているため、自由度が低くなってしまいます。また、カスタマイズに伴い発生するコストや保守管理負荷も大きな課題です。中小企業がクラウドを導入する場合には、これらの制限や課題を把握し、必要なカスタマイズを最小限に抑え、コストや管理負荷を最適化することが求められます。また、セキュリティリスクやデータプライバシーの保護など、クラウドサービス利用に伴う課題もあるため、専門的な知識を持つITスタッフの不在や人材不足も課題となっています。

サマリーと次回

次回は、クラウドの導入を前提に、上記の課題、デメリットをどのように軽減しながら組織に導入を進めていけばよいかについて書いていきたいと思います。
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