クラウド環境導入 <導入アプローチ編>
前回は、中小規模組織がクラウドコンピューティングを活用するための前提となる概念、用語を中心に解説を行いました。今回は、実際の導入検討にあたり、どう進めていけばよいかについて記載をします。前回、クラウドコンピューティングを中小規模組織で導入する際の、対応すべき課題、デメリットを記載しましたが、対応に際し、中小規模の組織においては、クラウド導入のノウハウや、リソース(予算・人的リソース)が不足しているのが実情かと思います。その解決策として、いくつかの「フレームワーク(考えるための枠組み)」を活用し、短期間で効率的に、クラウドコンピューティングの導入検討を行ってみたいと思います。
なお、フレームワークは万能ではなく、活用するためには、フレームワークを利用することのメリットとデメリットを理解しておく必要があるため、以下に記載をしておきます。
フレームワークを利用することのメリット
- 標準化による効率化:マネージメントフレームワークを活用することで、組織内のマネジメントが標準化されます。そのため、同じような作業をする際に、共通の手順やプロセスを用いることで、作業の効率化が図れます。
- 規模の拡大に対応可能:マネージメントフレームワークを利用することで、プロジェクトや業務の規模が拡大しても、管理がしやすくなります。これにより、組織の成長に対応可能となります。
- 品質の向上:マネージメントフレームワークを利用することで、品質管理やリスク管理などを徹底的に行うことができます。そのため、品質の向上やリスクの最小化が図れます。
フレームワークを利用することのデメリット
- 柔軟性の低下:マネージメントフレームワークを利用することで、標準化された手順やプロセスに沿って作業を行う必要があります。そのため、特殊なケースや状況に対応するための柔軟性が低下することがあります。
- 導入コストの高さ:マネージメントフレームワークを導入するには、専門知識が必要なため、コストがかかることがあります。また、フレームワークの導入には時間がかかるため、スピード感を持って取り組む必要があります。
- 失敗のリスク:マネージメントフレームワークは、あくまで手段であり、目的自体を達成する保証はありません。そのため、フレームワークに過剰に依存することで、失敗するリスクがあることに注意が必要です。
使用するフレームワーク
今回は、クラウドコンピューティング導入することで、ビジネスの課題を解決し、顧客、ユーザへ価値を提供することが何より大切であることから、組織と人材、プロセスとガバナンス、運用、テクノロジーの要素についてが網羅的に記述のある、Cloud Adoption Framework(以下CAFと記載)と、Acquiring & Managing Cloud Services (AMCS)を利用してみたいと思います。
Acquiring & Managing Cloud Services (AMCS)
「Acquiring & Managing Cloud Services」とは、AXELOSが提供するクラウドサービスを取得し、管理するためのベストプラクティスに関するガイダンスです。
このガイダンスには、クラウドサービスの取得において考慮すべきリスクや、契約の交渉や管理のためのポイント、サービスレベルアグリーメント(SLA)の策定方法などが含まれています。また、このガイダンスでは、クラウドサービスを選定するためのフレームワークである「クラウドサービス選定モデル」が提供されています。このモデルには、サービス提供者の評価やセキュリティ、コスト、機能性などの要素が含まれており、クラウドサービスを選定する際に役立ちます。
このガイダンスは、クラウドサービスを取得し、管理する際に必要なスキルや知識を提供することで、クラウドサービスの効果的な利用を支援することを目的としています。また、このガイダンスは、ITサービスマネジメントやプロジェクトマネジメントの分野で広く認められているAXELOSのベストプラクティスフレームワークであるITILやPRINCE2との相互運用性を重視しています。このガイダンスを活用することで、組織がクラウドサービスを取得し、管理する際に必要なプロセスや手順を効果的に実施することができます。また、クラウドサービスの利用に関するリスクを最小限に抑えることができ、組織のビジネスニーズに合わせたクラウドサービスの選択や管理が容易になります。
Cloud Adoption Framework (CAF)
Cloud Adoption Framework(以下CAFと記載)はクラウド導入のためのフレームワークで、主にMicrosoft Azure、AWS、GCPのクラウドプロバイダーが提供しています。CAFは、クラウド導入において必要なフェーズやステップを定義し、組織がクラウド移行をよりスムーズに実行するためのベストプラクティスを提供することを目的としています。CAFは、組織の規模やクラウドプロバイダーに依存せずに利用することができ、クラウド導入に必要なガイダンスやリソースを提供するための重要なフレームワークです。以下に、それぞれのクラウドベンダーのCAFのリンクを記載しておきます。
AWS、GCP、AzureのCAFはそれぞれ異なる特徴を持っていますが、いずれのフレームワークもクラウド移行を支援するためのベストプラクティスやガイドラインを提供しています。組織のニーズに合わせて、最適なフレームワークを選択し、クラウド移行をスムーズに実行することが重要です。
サマリーと次回
次回は、上記のフレームワークを活用し実際に導入までのロードマップ策定について書いていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。ここまでご覧いただきましてありがとうございました。ご意見、ご感想あれば、Twitter DM、お問い合わせフォームからお願いします。
